2020年4月1日水曜日

日本酒をつくります。

 実に二年ぶりの筆を執ります。
 新年度、新学期、新生活というのに、世の中は新型コロナウィルスcovid19が蔓延している。麦酒工房は本日より一部店舗で休業に入らせていただきました。街のビール屋さんとして、毎日のビールを提供できないことに大変申し訳なく思っています。ウィルス収束後もっと良い未来になっているよう、今できることを見出してゆきます。

 私はいま新しく日本酒をつくろうとしています。目指すのは、麦酒工房のビール達に交えて飲んでもらえるような日本酒です。

 ちょうど十年前の2010年4月1日は、1号店を出店する街を高円寺に絞り、街の住民になるべく高円寺南四丁目のアパートへ引っ越しが済み、新生活が始まった日でした。それまでの家賃12万円から、家賃7万円の部屋へ。夫婦共働きから、先に仕事を辞めた私に続き妻も前日付で退職し夫婦職無へ。Googleフォトを見返すと、妻と呑気に乾杯している写真ばっか見つかりました(笑)生活レベルダウンは精神的にくるけど、それを上回る夢があったからさほど凹まずに楽しく新生活をスタートしたような想い出です。

 ビールをつくり始めるにあたり、はじめは東京高円寺でやる意義を探すのに時間がかかりました。その後、日本らしいビールとは?追求するようになり、主原料(麦芽、ホップ)の国産化や、副原料に日本らしいもの(例えば、伝統的にはオレンジを使用するところを、徳島産直すだちに切り替える)を積極的に取り入れ始めました。しかし最新技術や情報はいつもアメリカから入ってくる。用語も英語になる。戦後のアメリカかぶれみたいでした。ホップの強い香りを追求しすぎて、ふと正気に返ってみると、杯数も飲み進められないようなくどいIPAを造ってしまった時もありました。ビールが自体が西洋文化であるがゆえかも知れません。個人的には、そういう風に外国の影響で変わっていく姿こそ日本らしいとも思うし、明治時代になって初めて入ってきたビールは、現在では欠かせない文化になっているし、これからもそうだと信じています。

 私たちのビールは、どこに向かっていくのかな。時折り想像を巡らせては見いだせずの繰り返しでしたが、今年になってようやくモヤが晴れてきています。こんなエピソードを読みました、自分が外国へ行ったとき相撲のとりかたを知らなくて、
「なんだあなたは自国の国技のルールも知らないのですか」と言われたという話でした。それが私には、
「なんだあなたは日本の醸造家なのに、国酒である日本酒の造り方も知らないんですか」と聞こえたのです。それでがぜん日本酒に興味がわいてきました。

 なぜ日本酒をつくるのか――? ビールのときもそうでした。造りたかったから始めたわけではない。今から振り返ると、自分の好きなものを人に伝えたかった。今回も、造りたい日本酒の味があるからつくるのではない。ビールと違って、世の中にすでに充分に美味しい日本酒がある。ただ日本人なんだから日本酒を飲まないのはちょっと寂しいなとは思う。日本酒を買うときにどうやって選んだら良いのかいまだにわからない。祭りや慶事や結婚式にでてくる日本酒は、一番安いやつで、あれを飲まされていたら好きにはなれないよな。

 街のビール屋さんが、日本の醸造技術を取り入れたら、すごいことになるんじゃなかろうか?ビールタップのうちのいくつかが日本酒だったら、お客さんどう思うかな?ビール飲みにきているのに、いきなり18%アルコールはありえないよな、その半分以下でないと。グラスも変えずにのんでもらえたらより親和性が高いかな。それって出来たてのマッコリみたいな味なのかな?いっそ日本酒って謳わなくてもいいんじゃないだろうか?これとホワイトエールを並べてオンタップし、「見た目は似ていますが、左は小麦で、右のは米から造りました。どちらも美味しいですよ〜!」醸造手法はお客さんには関係ないですからね。

 今年は、そんな未来を実現させます!!! ウィルスになんか負けないぞー!


▼日本酒用に、追加の製造免許(※)を先月取得しました。


(※)この免許は「その他の醸造酒」製造免許です。市販の日本酒ラベルを見ると、「清酒」「濁酒」「その他の醸造酒」「リキュール」などの品目に分けられているのがわかります。本ブログは一般のかたに向けて執筆しますから、酒税法上の区分を意図しない限り、平易な一般名称として「日本酒」という表現を使用することにしました。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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日本酒をつくります。

 実に二年ぶりの筆を執ります。  新年度、新学期、新生活というのに、世の中は新型コロナウィルスcovid19が蔓延している。麦酒工房は本日より一部店舗で休業に入らせていただきました。街のビール屋さんとして、毎日のビールを提供できないことに大変申し訳なく思っています。ウィルス収束...